会計・税務

【最新版】令和7年度(2025年)所得税改正|基礎控除・給与所得控除の引き上げと年末調整の注意点

令和7年度(2025年)の税制改正の概要

2025年12月から始まる税制改正により、多くのサラリーマンや会社員の税負担が軽減されます。

基礎控除の大幅アップや新しい控除制度の創設など、家計に直結する重要な変更点を分かりやすく解説します。

年末調整での手続き変更も含めて、今から準備しておくべきポイントをチェックしましょう。

なぜ基礎控除や給与所得控除が見直されるのか

今回の税制改正は、物価高や生活コストの上昇に対応するためのものです。

特に子育て世代や中低所得者の税負担を軽減し、家計の可処分所得を増やすことが主な目的となっています。

また、19歳から23歳の子どもを持つ家庭の教育費負担が重いことを受けて、新たな控除制度も創設されます。

これまでの税制では十分にカバーできていなかった層への支援が強化される内容です。

改正が適用されるのはいつから?

2025年12月1日から施行され、令和7年分以後の所得税に適用されます。

2025年11月まで2025年12月から2025年12月の
年末調整
2026年3月の
確定申告
従来通りの税制で源泉徴収新制度での税額計算新制度が初めて適用2025年分として新制度で申告

基礎控除の見直し内容

基礎控除とは?そもそもの意味を解説

基礎控除とは、すべての納税者が無条件で所得から差し引ける金額のことです。

「生活に最低限必要な部分には税金をかけない」という考え方に基づいた制度で、控除額が多いほど税金が安くなります。

これまでは一律38万円でしたが、今回の改正で大幅に引き上げられ、所得に応じて最大95万円まで控除を受けることができるようになります。

改正後の控除額と所得制限のポイント

新しい基礎控除額は、所得に応じて下記の通り段階的に設定されています。
なお、合計所得金額が2,350万円超の場合には改正前と変更はありません。

国税庁_令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について

給与所得控除の改正点

給与所得控除とは?サラリーマンに直結する制度

給与所得控除は、サラリーマンの「みなし必要経費」として認められている控除制度です。

スーツ代や交通費など、仕事に必要な費用を概算で控除する仕組みで、年収に応じて控除額が決まります。

自営業者が実際の経費を計上できるのに対し、給与所得者は給与所得控除によって税負担の公平性を保っています。

最低保障額の引き上げでどう変わるか

給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます。
これにより、年収が少ない人でも一定額の控除を確実に受けることができます。
具体的な変更内容は下記の通りとなります。

なお、給与収入が190万円超の場合、給与所得控除額に改正はありません。
国税庁_令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について

新設された「特定親族特別控除」とは

対象となる親族と控除額の概要

特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の子どもがいる家庭を対象とした新しい控除制度です。

  • 年齢:19歳以上23歳未満
  • 所得制限:合計所得金額58万円超123万円以下
  • 生計条件:納税者と生計を一にしていること
  • 除外対象:配偶者、青色・白色事業専従者は対象外

この制度により、大学生の子どもを持つ家庭の教育費負担が軽減されることが期待されます。
特定親族特別控除額は特定親族の合計所得金額によって、下記の通りとなります。

国税庁_令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について

年末調整や申告で必要になる手続き

特定親族特別控除を受けるためには、年末調整時に以下の手続きが必要です

  • 給与所得者の特定親族特別控除申告書の提出
  • 対象親族の所得証明
  • 生計を一にすることの確認

扶養控除やひとり親控除の見直し

扶養親族の所得要件の変更

基礎控除の改正に伴い、扶養控除の対象となる扶養親族等の所得要件も見直されます。

  • 扶養親族及び同⼀⽣計配偶者の合計所得⾦額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)
  • ひとり親の⽣計を⼀にする⼦の総所得⾦額等の合計額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)
  • 勤労学⽣の合計所得⾦額の要件:85万円以下(改正前:75万円以下)

これにより、これまで扶養控除の対象外だった親族も控除対象となる可能性があります。

家族がいる人が注意すべきポイント

所得制限の緩和により対象が拡大

  • パートで働く配偶者の年収上限がアップ
  • アルバイトをする学生の子どもも扶養対象になりやすく
  • 年金受給中の親の扶養判定も変更

事前に確認すべきこと

  • 家族全員の年収・所得状況
  • 現在の扶養控除適用状況
  • 新制度での扶養控除対象者

2025年の年末調整で注意すべきこと

申告書の記載内容が変わる点

  • 令和7年分の変更点 ①基礎控除申告書の控除額欄 ②特定親族特別控除に関する新設項目 ③扶養控除等申告書の所得要件
  • 令和8年分の変更点 ①扶養控除等申告書の様式変更 ②源泉徴収簿の記載項目追加

提出漏れや記入ミスを防ぐためのチェックリスト

年末調整前の準備チェックリスト

  • 家族の所得状況を正確に把握
  • 新しい控除制度の対象者を確認
  • 必要書類(所得証明書など)の準備
  • 会社からの案内・説明資料の確認
  • 記載例や手引きの事前確認

記入時の注意点

  • 控除額の記載間違いがないか
  • 所得金額の計算ミスがないか
  • 新設項目の記入漏れがないか
  • 押印や署名の確認
  • 提出期限の厳守

まとめ|改正内容を押さえて早めの準備を

2025年12月から始まる税制改正は、多くの納税者にとってメリットの大きい内容です。
基礎控除の大幅増額により、合計所得金額489万円以下の方にとっては特に大きな節税効果を実感できるでしょう。

改正のメリット

  • 基礎控除の大幅アップで税負担軽減
  • 給与所得控除の引き上げでサラリーマンに恩恵
  • 特定親族特別控除で子育て世代を支援
  • 扶養控除の対象拡大で家族のいる世帯に配慮

準備のポイント

今すぐ秋頃年末調整前継続的
家族の所得状況を整理国税庁の詳細発表をチェック必要書類を準備制度変更の最新情報を確認

税制改正の詳細国税な内容は国税庁ホームページで随時更新されます。
早めの準備で新制度のメリットを最大限活用し、家計の負担軽減につなげましょう。

Conduct

植西 祐介
コンダクトグループ(株式会社コンダクト/税理士法人コンダクト/社会保険労務士法人コンダクト) 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士