東京都世田谷区の相続なら
世田谷相続・事業承継センターへ

相続放棄の手続き完全ガイド

2025年4月23日

植西 祐介

  • 税理士
  • 社労士
  • 会計士

税理士法人コンダクト 共同代表

相続というと、財産を引き継ぐことをイメージされる方が多いかもしれませんが、実は「引き継がない」という選択肢もあります。それが「相続放棄」です。相続する財産よりも引き継ぐ借金が上回るような状況では、相続放棄が有効な選択肢となります。本記事では、相続放棄について、基本から実務上の注意点まで詳しく解説します。

相続における3つの選択肢

相続が発生した場合には、相続人は以下の3つの選択肢から1つを選ばなければなりません。

単純承認

故人の財産をプラスもマイナスも含めて、全て引き継ぐ方法です。何も手続きをしない場合は自動的に単純承認となります。

限定承認

故人のプラスの財産の範囲内で借金を返済する方法です。限定承認をしたい場合は、相続人全員が共同で家庭裁判所に申述する必要があります。他の選択肢より手続きが複雑で、相続財産の管理・清算の手間がかかります。

相続放棄

故人の財産をプラスもマイナスも含めて、全て放棄する方法です。相続放棄をしたい相続人は個別に家庭裁判所に申述します。

相続放棄は年々増えている

相続放棄の件数は年々増加傾向にあります。司法統計によれば、2023年の相続放棄の件数は、全国で28万件を超えて過去最多を記録し、今後も増加し続けることが見込まれています。

この背景には、「借金の相続回避」などの財産に着目した判断だけでなく、「相続財産の維持管理費の負担回避や「疎遠な親族との関係性の回避」といった、将来的な経済的・精神的負担も考慮して判断する考えが広まっている社会的要因などがあります。

相続放棄のメリット・デメリット

相続放棄を検討する際は、相続放棄のメリットとデメリットを比較しながら検討することが重要です。相続放棄の主なメリット・デメリットを挙げると以下の通りになります。

相続放棄のメリット

  • ご両親が負っていた借金から解放される
  • 相続財産の管理義務から解放される
  • 遺産分割協議に参加する必要がなくなり、他の相続人との紛争リスクを低減できる

相続放棄のデメリット

  • プラスの財産も全て放棄することになるため、価値ある財産や思い出のある自宅なども手放すことになる
  • 相続放棄をすることで相続権が移るため、他の家族との関係に悪影響を及ぼす可能性がある

相続放棄を検討する際の注意点

相続放棄をする際にはいくつか注意点があります

相続財産を使い込むと相続放棄できない

相続放棄をする前に、遺産の一部を自分の生活費に使ったりすると、「単純承認」を選択したものとみなされて相続放棄ができなくなります。そのため、相続放棄を検討している段階では、相続財産には触れないようにする注意が必要です。

相続放棄は撤回できない

相続放棄の申述が一度認められると撤回はできません。そのため、相続放棄後に多額の財産が見つかったとしても、その財産を取得することができなくなります。慎重に財産を確認してから、判断・手続きをすることが重要です

生前贈与が無効になることがある

相続放棄をするとプラスの財産も承継できなくなることから、生前に贈与でプラスの財産を移す計画をする人がいます。しかし、借金をたくさん抱えながら生前にたくさんの贈与をすることを認めると、貸している立場は不当に回収できなくなるリスクを負うことから、そのような場合には、債権者が「詐害行為取消権」という権利を行使して、生前の贈与が無効になることがあります。そのため、生前贈与を受けながら相続放棄を検討している場合には、一度弁護士などの専門家にご相談することをオススメします。

相続放棄は個人ごとに行う

相続放棄は、相続人が個別に手続きをする必要があります。そのため、家族全員が相続放棄を希望する場合でも、代表者1人がまとめて手続きを行うことはできないので、注意が必要です。

相続放棄の流れ

相続放棄をする際には、以下の流れで進めましょう。

1. 相続財産を調査する

まずは、故人の財産状況を徹底的に調査します。預貯金や不動産、株式などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産を把握します。これらの遺産の状況を正確に把握しなければ、債務超過の判断ができないので、まずは遺産の状況整理からスタートします。

2. 相続放棄申述書を提出する

遺産の状況を調査して、相続放棄をすると決めたら、すぐに相続放棄の手続きをしましょう。相続放棄の手続は、故人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内が期限となっています。期限を過ぎたら、相続放棄をしたくてもできなくなるので、すぐに手続きをしましょう。

3. 相続放棄申述受理通知書を受け取る

相続放棄申述書が受理されると裁判所で審査が行われます。相続放棄の要件を満たしているか照会書が送られてくることもあるので、照会書が届いたら回答をして、家庭裁判所に返送をします。審査した内容に問題がなければ、相続放棄の証明として、「相続放棄申述受理通知書」が届きます。

相続放棄と相続税の基礎控除

相続放棄をすることで、相続人の数が増減することになります。これに伴って、相続税の基礎控除額が増減して相続税の負担も変動するのではないかと疑問に思われる方もいます。しかし、実際はそんなことはありません。

相続税の基礎控除額は以下の計算式で求められます。

相続税の基礎控除額の計算式

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

この、相続税の基礎控除額の計算などで使用する「法定相続人の数」とは、相続放棄がなかったものと仮定して数えた相続人の数となっています。そのため、相続放棄をしても「法定相続人の数」は変わらないという点です。

例えば、相続人が配偶者と子どもの家族で相続が発生し、仮に子どもが相続放棄をした場合には、相続人は配偶者の1人になります。しかし、相続税の計算においては、相続放棄がなかったものとして計算がされるため、法定相続人は2人となり、相続税の基礎控除額は、3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円となります。

相続放棄しても相続税が発生するケースとは?

相続放棄をすると、相続で遺産を承継することがないため、相続税がかからないと思われる方もいます。しかし、実際は、相続放棄をしたからといって、必ず相続税がかからないわけではありません。以下のようなケースでは、相続放棄をしていても相続税が発生する可能性があります。

遺贈で財産を受け取った場合

遺言(故人の意思)によって財産を特定の人に承継することができます。この承継を「遺贈」といいます。遺贈を受ける人は、必ずしも相続人である必要はなく、法人や第三者が対象になることもあります。

そのため、相続放棄をしたとしても、遺贈で財産を承継することができます。遺贈で取得した財産は、相続税が課税されます。

生命保険金などを受け取った場合

生命保険金の受取人になっている場合には、相続放棄をしても保険金を受け取る権利はなくならず、保険金を受け取ることができます。この、被相続人が亡くなったことで受け取った保険金は「みなし相続財産」として相続税が課税されます。

なお、生命保険金には非課税枠がありますが、この非課税枠を利用することができる人は相続人に限定されています。相続放棄をした場合には、相続人ではなかったことになるため、生命保険金の非課税枠を使用することはできません。結果として、相続放棄者が受け取った生命保険金は全額が相続税の課税対象となります。

相続時精算課税制度を利用して贈与を受けている場合

被相続人から生前に相続時精算課税制度を利用して贈与を受けていた場合、その贈与で受け取った財産は、必ず相続税に組み込んで、税金を精算することになっています。

そのため、相続放棄をしたとしても、この制度を利用して受け取った贈与財産については、相続税の課税対象となり、相続税が課税されることになります。

相続税の負担を減らす観点から相続放棄をするケースとは?

不慮の事故で両親より先に子どもが亡くなった場合に、その亡くなった子どもに子ども(両親から見たら孫)がいないときは、両親が子どもの相続財産を承継することになります。この両親が承継をした相続財産は、相続後はご両親の財産になるため、次にご両親が亡くなったときには、その子供から承継した財産に対しても、再び相続税が課税されます。

そこで、このようなケースにおいては、両親が子どもの相続を放棄すると、子どもの財産は直接兄弟姉妹に移ることになります。結果として、ご両親の相続時に再び相続税が課税される問題を回避することができ、相続放棄が相続税の対策として有効になることがあります。

なお、このような判断は、財産の状況や家族の構成によっても異なるため、税理士などの専門家に相談することをおススメします。

まとめ

相続放棄は、債務超過の相続から身を守る重要な手段の1つです。相続放棄の件数は年々増加傾向にあり、決して珍しい選択肢ではなくなってきています。しかし、一度決断すると撤回できないため、慎重な判断が求められます。

税理士
川上誠仁

相続時は、適切な判断と手続きを行うことで、将来の不安を解消して新しい一歩を踏み出すこともできます。相続放棄を含む相続に関するお悩みやご相談がある方は、お気軽にご相談ください。

    • 世田谷区で創業
    • 下北沢駅徒歩2分

    東京都世田谷区の相続なら
    世田谷相続・事業承継センターへ

    相続無料相談受付中

    “ 知らなかった ” を ゼロ にする体制が整っています

    初回無料 まずは相談する

相続無料相談受付中

“ 知らなかった ” を ゼロ にする体制が整っています

初回無料 まずは相談する