はじめに

「そろそろ親の相続について考えなければ…相続税と贈与税、結局どちらが得なの?」

川上 誠仁
このような不安や疑問を抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。相続は人生で何度も経験するものではないため、どこから手をつければいいのか、誰に相談すればいいのか、わからなくて当然です。
実は、相続税と贈与税はどちらが得かという単純な比較はできません。なぜなら、それぞれの税金には異なる特徴があり、ご家族の状況によって最適な選択が変わってくるからです。
この記事では、相続税と贈与税の基本的な違いから、具体的な節税方法、そして何より大切な家族がもめない相続を実現するためのポイントまで、わかりやすく解説していきます。
相続税と贈与税の基本
違いを正しく理解しよう
相続税と贈与税、どちらも財産を誰かに渡す時にかかる税金という点では同じですが、その仕組みには大きな違いがあります。まずは、それぞれの税金の基本を正しく理解しましょう。
相続税とは? 亡くなったときにかかる税金の仕組み
相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産を相続人が引き継ぐ際にかかる税金です。相続税には基礎控除という非課税枠があり、遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。
基礎控除額の計算式
| 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 |
|---|
例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人の場合は
| 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円 |
|---|
になります。この場合、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税は発生しません。
実は、相続税が課税される方は全体の約9%程度と言われています。多くの方は相続税の心配をする必要はない、ということも知っておいていただきたいポイントです。
贈与税とは? 生前に財産を渡すときにかかる税金
贈与税は、個人から年110万円を超える財産の贈与を受けた際にかかる税金です。相続と大きく違うのは、財産を渡す方が生きている間に、自分の意思で自由に財産を渡せるという点です。
贈与税の大きな特徴は以下の通りです。
•年110万円までは非課税
•好きなタイミングで贈与できる
•何回でも贈与できる
•家族以外にも贈与できる
例えば、親が子どもに毎年100万円ずつ贈与する場合、贈与税はかかりません。この「年間110万円の非課税枠」を長期的に活用することで、相続税の節税につながる可能性があります。
相続税と贈与税の主な違いを比較表でチェック
相続税と贈与税の違いを、わかりやすく表にまとめました。
| 項目 | 相続税 | 贈与税 |
|---|---|---|
| 発生するタイミング | 被相続人の死亡時 | 当事者の合意があればいつでも |
| 対象となる財産 | 亡くなった時点の全財産 | 贈与した財産のみ |
| 非課税枠 | 3,000万円+600万円×法定相続人数 | 年間110万円 |
| 税率 | 10%〜55%(累進課税) | 10%〜55%(暦年課税の場合) |
| 回数 | 一生に一度 | 何度でも可能 |
| 対象者 | 法定相続人 | 誰でも可能 |
| 自分で選べるか | 選べない | 選べる |
この表を見ると、贈与税の方が自由度が高いことがわかります。この自由度を活かすことが、相続税対策の鍵となるのです。
【重要】同じ金額なら相続税の方が税率は低いが贈与税が「損」とは限らない理由
贈与税は高いという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。確かに、同じ金額を一度に渡す場合は、相続税の方が税率は低くなります。しかし、それだけで「贈与税は損」と判断するのは早計です。その理由を詳しく見ていきましょう。
税率だけ見れば贈与税の方が高い
まず、相続税と贈与税の税率を比較してみましょう。
相続税の税率(基礎控除後の課税額に対して)
| 課税額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ー |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
贈与税の税率(110万円控除後の課税額に対して)
| 右記以外の場合 | 18歳以上の子や孫への贈与の場合 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 課税額 | 税率 | 控除額 | 課税額 | 税率 | 控除額 |
| 200万円以下 | 10% | ー | 200万円以下 | 10% | ー |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 | |||
| 400万円以下 | 20% | 25万円 | 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 | 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 | |||
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 | |||
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
1億円の財産を一度に渡した場合
例えば、1億円の財産を一度に渡した場合を比較してみましょう。
■相続で1億円を渡す場合(法定相続人は55歳の子ども1人)
| 課税額:1億円 – 3,600万円 = 6,400万円 |
|---|
| 相続税:6,400万円 × 30% – 700万円 = 1,220万円 |
■贈与で1億円を一度に渡す場合(法定相続人は55歳の子ども1人)
| 課税額:1億円 – 110万円 = 9,890万円 |
|---|
| 贈与税:9,890万円 × 55% – 640万円 = 約4,800万円 |
この例を見ると、贈与税の方が約3,580万円も高くなります。これが「贈与税は高い」と言われる理由です。
「渡せる回数」が違うから単純比較はできない
しかし、ここで重要なポイントがあります。それは、相続と贈与では「渡せる回数」が根本的に異なるということです。
- **相続:**一生に一度、亡くなった時に全財産を一度に渡す
- **贈与:**生きている間、何度でも、好きなタイミングで渡せる
生前贈与は、財産を小分けにして、複数回に分けて渡すことができます。この特徴を活かすことで、1回あたりの贈与額を抑え、適用される税率を下げることができるのです。
例えば、先ほどの1億円を一度に渡すのではなく、20回に分けて毎年500万円ずつ贈与した場合はどうでしょうか。
■500万円の贈与にかかる贈与税(1回あたり)
| 課税額:500万円 – 110万円 = 390万円 |
|---|
| 贈与税:390万円 × 15% – 10万円 = 48.5万円 |
これを20回繰り返すと…
| 贈与税の合計:48.5万円 × 20回 = 970万円 |
|---|
一度に1億円を相続した場合の相続税1,220万円と比較すると、250万円も節税(※)できることになります。
※ただし、この例は7年ルールを考慮していない単純計算です。
このように、贈与税を払っても、長期的に見れば相続税より負担が少なくなることがあります。
大切なのは、「贈与税を払うのは損」という固定観念を捨て、ご家族の状況に応じて柔軟に考えることです。
相続税と贈与税、どちらが得になるケースは? 判断のポイント
ここまでで、必ずしも相続税の方が得とは限らないということがおわかりいただけたと思います。では、どのような場合に生前贈与が有効なのでしょうか。判断のポイントを見ていきましょう。
相続税対策として生前贈与が有効なケース
以下のような状況に当てはまる方は、生前贈与を活用することで大きな節税効果が期待できます。
①相続財産が基礎控除を大きく超える場合
財産が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)を大きく超える場合、相続税の税率が高くなります。このような場合、生前贈与によって財産を減らすことで、相続税の負担を軽減できます。
②時間的余裕がある場合(若いうちから贈与できる場合)
贈与による節税効果は、長期間にわたって計画的に行うことで最大化されます。60代前半など、まだお元気なうちから始めることで、年間110万円の非課税枠を何度も活用できます。
例えば、毎年110万円ずつ贈与すれば、10年間で1,100万円を無税で移転できます。
③子どもや孫が複数いる場合
贈与税の非課税枠(年間110万円)は、贈与を受ける人ごとに適用されます。つまり、子どもが3人、孫が4人いる場合、年間で最大770万円(110万円 × 7人)を無税で贈与できることになります。お心が許す方は、義理の息子さんや義理の娘さんに贈与をしても同様の効果があります。
このように、贈与する人を分散するほど、生前贈与の効果は大きくなります。
④賃貸物件など収益不動産を持っている場合
賃貸マンションやアパートなど、収益を生む不動産を所有している場合は、早めに贈与することで大きな節税効果が得られます。
なぜなら、収益不動産をそのまま持ち続けると、家賃収入が蓄積されて相続財産がどんどん増えてしまうからです。早い段階で不動産を子どもに贈与すれば、それ以降の家賃収入は子どもの財産となり、相続財産の増加を抑えることができます。
逆に生前贈与が不要・不利になるケース
一方で、以下のような場合は、無理に生前贈与を行う必要はありません。
①相続財産が基礎控除以下の場合
そもそも相続税がかからない場合は、生前贈与のメリットはほとんどありません。むしろ、贈与税を支払うことで余計な税負担が生じる可能性があります。
例えば、法定相続人が3人で相続財産が4,500万円の場合、基礎控除額(4,800万円)以下なので相続税はかかりません。この場合、無理に110万円を超える生前贈与をする必要はないでしょう。
②相続までの期間が短い可能性がある場合
後述する「7年ルール」により、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算されてしまいます。そのため、相続までの期間が短い場合は、生前贈与の効果が薄れてしまいます。
ただし、孫への贈与は7年ルールの対象外となるケースもあるため、状況によって判断が変わります。
③生活資金が不安な場合
生前贈与は、あくまで余裕のある資金で行うべきです。ご自身の老後の生活資金や医療費、介護費用などを十分に確保した上で、余剰資金を贈与するようにしましょう。
無理な贈与をしてしまうと、後で生活に困ることになりかねません。
【注意】2024年改正で変わった「7年ルール」を理解しておきましょう
生前贈与を検討する上で、必ず知っておかなければならないのが「生前贈与加算」のルールです。2024年1月から、このルールが大きく変わりました。
改正前(2023年以前):3年ルール
- 亡くなる前3年以内の贈与は相続財産に加算される
改正後(2024年以降):7年ルール
- 亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算される
- ただし、4〜7年前の贈与については、合計100万円まで控除される
この改正により、「相続直前の駆け込み贈与」による節税効果は以前より薄れました。だからこそ、早めに、計画的に生前贈与を始めることが重要になってきているのです。
7年ルールの注意点
- 相続人以外(孫など)への贈与は、原則として7年ルールの対象外
- 相続時精算課税制度を選択した場合は別のルールが適用される
- 住宅取得資金の贈与など特例を使った贈与も対象外
このルールを正しく理解していないと、せっかくの節税対策が無駄になってしまう可能性があります。専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
【実践編】生前贈与を活用した相続税の節税方法
それでは、具体的にどのような方法で生前贈与を活用すればよいのか、実践的な節税方法を3つご紹介します。
方法①:年間110万円の非課税枠を長期的に活用
最もシンプルな方法が、暦年課税の基礎控除(年間110万円)を長期的に活用する方法です。
基本的な考え方
- 毎年110万円以下の贈与であれば贈与税はかからない。
- 複数人に贈与すれば、年間の贈与総額を増やせる。
- 長期間続けることで、大きな金額を無税で移転できる。
実践例:Aさんのケース
- お父様の財産:8,000万円
- 贈与先:子ども2人、孫3人の計5人
- 毎年各人に100万円ずつ贈与
この場合、1年間で500万円(@100万円 × 5人)を無税で贈与できます。10年間続ければ5,000万円、15年間続ければ7,500万円を無税で移転できることになります。
注意すべきポイント
①定期贈与とみなされないように
毎年同じ金額、同じ時期に贈与すると「最初から大きな金額を贈与する約束だった」とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。金額や時期に変化をつける、贈与契約書を毎回作成するなどの対策が必要です。
②贈与の証拠を残す
銀行振込で記録を残す、贈与契約書を作成するなど、確実に贈与が行われたことを証明できるようにしましょう。
③受贈者が財産を管理する
贈与したにもかかわらず、通帳や印鑑を贈与者が管理していると「名義預金」とみなされ、相続財産として課税される可能性があります。
方法②:相続税の累進課税を理解して戦略的に贈与
少し上級者向けですが、相続税の税率の仕組みを理解して戦略的に贈与する方法もあります。
累進課税とは?
相続税は、財産が多いほど税率が高くなる累進課税制度です。例えば、1億円の財産に対する相続税を計算する際、全体に一律の税率がかかるわけではありません。
- 最初の3,600万円(基礎控除):税率0%
- 次の1,000万円:税率10%
- 次の2,000万円:税率15%
- 次の2,000万円:税率20%
- 残りの1,400万円:税率30%
このように、財産を区分ごとに分けて計算します。つまり、最も高い税率がかかる部分を生前贈与で減らせば、効果的に相続税を節税できるということです。
具体例:Bさんのケース
- お父様の財産:1億円
- 法定相続人:子ども1人
- 相続税の最高税率:30%
このケースで、500万円を生前贈与した場合は、
■贈与税
| (500万円 – 110万円)× 15% – 10万円 = 48.5万円 |
|---|
■削減される相続税
| 500万円 × 30%(最高税率部分)= ▲150万円 |
|---|
■実質的な節税効果
| 150万円 – 48.5万円 = 101.5万円 |
|---|
ということになります。
つまり、48.5万円の贈与税を支払うことで、150万円の相続税を節税できます。
結果として、約100万円の税金のおトクということになります。
この方法は、ご自身の相続税がどのくらいになるのか?、最高税率は何パーセントなのか?を把握する必要があります。税理士に相続税のシミュレーションをしてもらった上で、戦略的に贈与額を決めることをおすすめします。
方法③:特例制度を賢く使う
贈与税には、特定の目的のために使える非課税特例がいくつか用意されています。これらを上手に活用することで、大きな金額を非課税で贈与できます。
①住宅取得資金の贈与(最大1,000万円非課税)
子どもや孫が住宅を購入する際、その資金を贈与する場合に利用できる特例です。
- 非課税枠:最大1,000万円
- 条件 :贈与を受ける人が18歳以上で、所得2,000万円以下など
例えば、子どもがマイホームを購入する際に1,000万円を贈与しても、この特例を使えば贈与税はかかりません。通常の暦年贈与(110万円)と併用も可能です。
②教育資金の一括贈与(最大1,500万円非課税)
子どもや孫の教育資金を一括で贈与する場合に利用できる特例です。
- 非課税枠:最大1,500万円
- 条件 :贈与を受ける人が30歳未満など
教育資金は、入学金、授業料、学習塾の費用、留学費用なども対象となります。ただし、金融機関に専用口座を開設し、教育資金として使ったことを証明する領収書の提出が必要です。
③結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円非課税)
結婚や子育てにかかる費用に充てる資金を一括で贈与する場合に利用できる特例です。
- 非課税枠:最大1,000万円
- 条件:贈与を受ける人が18歳以上50歳未満など
結婚・子育て資金は、結婚式費用、新居の家賃、出産費用、保育料などが対象となります。こちらも専用口座の開設と領収書の提出が必要です。
④相続時精算課税制度(累計2,500万円の特別控除)
60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について選択できる制度です。
- 特別控除 :累計2,500万円まで贈与税がかからない
- 2024年改正:年間110万円の基礎控除が新設された
- 注意点 :相続時に贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する
この制度は、収益不動産など将来価値が上がる財産の贈与に適していますが、一度選択すると暦年課税には戻れないなど注意点も多いため、慎重な検討が必要です。
相続税にも使える!知っておきたい節税特例
生前贈与だけでなく、相続税そのものを軽減できる特例制度もあります。これらを組み合わせることで、より効果的な相続税対策が可能になります。
①小規模宅地等の特例(土地の評価を最大80%減額)
土地を相続する場合、一定の要件を満たせば土地の評価額を大幅減額できる特例です。
主な内容
- 居住用の宅地:330㎡まで80%減額
- 事業用の宅地:400㎡まで80%減額
- 貸付用の宅地:200㎡まで50%減額
例えば、評価額5,000万円の自宅の土地(300㎡)を配偶者が相続する場合、この特例を使えば評価額を1,000万円(5,000万円 × (1 – 80%))まで減額できます。
相続税の大幅な節税につながる重要な特例ですが、適用要件が複雑なため、税理士に相談することをおすすめします。
②配偶者の税額軽減(配偶者は最低1.6億円までの遺産は非課税)
配偶者が相続する財産については、大幅な税額軽減が受けられます。
制度の内容
- 配偶者が相続した財産のうち、以下のいずれか多い金額まで相続税がかからない
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
例えば、遺産総額が3億円で、配偶者がその半分を相続する場合、配偶者は相続税がかかりません。
ただし、この特例を使いすぎると、相続した配偶者から子どもへの相続(二次相続)の際に多額の相続税が発生する可能性があるため、長期的な視点での検討が必要です。
③生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数まで非課税)
死亡保険金には、相続税の非課税枠があります。
非課税枠の計算
| 生命保険金の非課税 = 500万円 × 法定相続人の数 |
|---|
例えば、法定相続人が3人の場合、1,500万円までの死亡保険金には相続税がかかりません。
現金で相続するよりも、生命保険に加入しておくことで相続税を軽減できます。また、生命保険金は遺産分割の対象外となるため、相続手続きがスムーズに進むというメリットもあります。
【重要】もめない相続のために抑えるポイント
ここまで、相続税と贈与税の節税方法について解説してきました。しかし、税金を減らすことだけが相続対策ではありません。むしろ、「家族がもめない円満な相続」こそが、最も大切な相続対策だと考えています。
税金を減らすだけでは不十分 家族がもめないための配慮
生前贈与は節税に有効ですが、やり方を間違えるとトラブルの原因になることがあります。
よくあるトラブル例
ケース1:贈与が偏っていた
長男にだけ多額の贈与をしたため、相続時に次男・三男から「不公平だ」とクレームが出た。
ケース2:遺留分を侵害していた
生前贈与で財産のほとんどを長女に渡していたため、相続時に長男の遺留分(法律で確保されている最低限の相続分)を侵害してしまった。
ケース3:贈与の記録がない
生前に現金で贈与していたが、記録がなかったため、他の相続人から「本当に贈与があったのか」と疑われ、トラブルになった。
このようなトラブルを避けるためには、以下のような配慮が必要です。税金を減らすことも大切ですが、それ以上に家族が納得し、感謝し合える相続を目指すことが重要です。
①贈与の事実を家族で共有する
誰にいくら贈与したかを他の家族にも伝えておく
②遺留分を考慮する
特定の人にだけ贈与する場合は、遺留分を侵害しないよう注意
③遺言書を作成する
贈与の経緯や理由を遺言書に記載し、他の相続人の理解を得る
④生前に話し合う
家族で相続について話し合い、納得感を醸成しておく
生前贈与で失敗しないための注意点
生前贈与を行う際は、以下の点に注意しましょう。
①贈与契約書を必ず作成する
口約束だけでは、後でトラブルになる可能性があります。贈与契約書には以下の内容を記載しましょう。
- 贈与する人、受ける人の氏名
- 贈与する財産の内容と金額
- 贈与の日付
- 両者の署名・捺印
②通帳・印鑑は受贈者が管理する
贈与したにもかかわらず、通帳や印鑑を贈与者が管理していると「名義預金」とみなされ、相続税の課税対象になってしまいます。
贈与したら、必ず受贈者本人が通帳と印鑑を管理するようにしましょう。
③銀行振込で記録を残す
現金手渡しではなく、銀行振込で贈与することをおすすめします。振込記録が残ることで、贈与の事実を証明しやすくなります。
④贈与税の申告が必要な場合は必ず申告する
年間110万円を超える贈与を受けた場合、たとえ特例で贈与税が0円になる場合でも、贈与税の申告が必要です。申告期限(贈与年の翌年2月1日〜3月15日)を守りましょう。
手続きが複雑で不安な時は税理士に相談を
相続税や贈与税の計算は、想像以上に複雑です。
- 相続税の計算には専門知識が必要
- 贈与税の特例にはそれぞれ細かい要件がある
これらを全て自分で行おうとすると、大きな負担になります。また、知識不足によるミスで、かえって税金が高くなってしまったり、手続きに不備が出たりする可能性もあります。
専門家に相談すべきタイミング
早めに専門家に相談することで、より効果的な対策を立てることができます。また、いざという時に慌てずに済みます。
- 相続財産が基礎控除を超えそうな場合
- 生前贈与を計画的に行いたい場合
- 不動産など複雑な財産がある場合
- 家族関係が複雑で、トラブルが心配な場合
- 相続が発生し、何から手をつけていいかわからない場合
まとめ 相続税と贈与税は「どう活用するか」が大切
この記事では、相続税と贈与税の違いから、具体的な節税方法、そして円満相続のポイントまで、幅広く解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
この記事の重要ポイント
- 同じ金額を一度に渡すなら相続税の方が税率は低いが、贈与は何度でもできるため、小分けにすることで節税できる
- 年間110万円の非課税枠を長期的に活用することで、大きな金額を無税で移転できる
- 相続税の最高税率部分を減らすように戦略的に贈与することで、効果的な節税が可能
- 住宅取得、教育、結婚・子育て資金などの特例を活用すれば、さらに大きな節税効果
- 2024年改正で7年ルールに変更されたため、早めの対策が重要
- 複雑な手続きは税理士に相談することで、安心して進められる
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免責事項
この記事の内容は、2024年10月時点の税制に基づいています。税制は改正される可能性がありますので、最新の情報を税理士等の専門家にご確認ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談に代わるものではありません。具体的なケースについては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

